症状
初発疹では、二センチ前後の直径を持つ紅斑落屑局面が体幹を中心に数個発生します。真ん中部分は若干黄色っぽくなっています。鱗屑を環状に有し、淡紅色の辺縁を示します。ジベル薔薇色粃糠疹(じべるばらいろひこうしん)では、その大半で初発疹を認めます。その後一週間から十日ほどかけて突然、卵円形かつ辺縁落屑性紅斑が体幹及び四肢中枢側にわたって見られ、播種状に数多く発生します。大きさは大小不同になっており、手のひらや足の裏には見られず、四肢抹消並びに顔頸部においてもほとんど認めません。皮膚割線方向に長軸を沿わせる傾向にあり、初発疹より小形となります。普通は一ヶ月から一ヵ月半程度かけて退縮傾向を示し、痒みは感じても僅かとされます。時に丘疹型となって毛包性小丘疹が中心となったり、また紫斑や蕁麻疹様膨疹、小水疱、紫斑、少ないケースで口腔アフタを混在させることがあります。ジベル薔薇色粃糠疹は高齢者や子供にはあまり認められず、20歳から30歳代にかけて多く見られます。再発はほぼ認められません。
原因
薬疹の内、ジベル薔薇色粃糠疹の型を取るものも見られますが、本疾患の原因はハッキリ分かっていません。ウイルス感染説、病巣感染アレルギー説、自己免疫説、自家感作皮膚炎説といった原因説が存在します。また脂漏性皮膚炎の近縁とも指摘されています。中毒疹においてジベル薔薇色粃糠疹の経過を辿るタイプは薬疹ジベル型となります。本疾患の組織所見では、ほとんど湿疹に類似します。
治療法
内用抗ヒスタミン及び外用ステロイド薬が用いられます。消炎鎮痛薬やワセリン、UVBなどが利用されることもあります。尚、ジベル薔薇色粃糠疹では脂漏性皮膚炎、乾癬、薬疹、癜風との鑑別を要します。脂漏性皮膚炎は脂漏部を中心に生じ、頭部、顔面に見られます。乾癬は鱗屑が銀白色をしています。薬疹では薬剤の摂取歴があります。癜風は潮紅を認めません。また癜風菌が検出されます。