尋常性魚鱗癬

症状

粃糠様若しくは小葉状落屑を体幹及び四肢伸側において生じます。胸腹部、外陰、腋窩、四肢関節屈側などには見られず、背部、下腿前面に多く認められます。誕生した際は特に症状を示さず、乳幼児期以降に発症します。概ね十歳程度まで進行性であり、その後青年期に入ると軽快するケースが多いと言われています。少ないケースで痒みを生じますが、多くは自覚症状を認めません。冬が訪れると悪化し、夏に軽快する傾向にあります。また尋常性魚鱗癬(じんじょうせいぎょりんせん)の合併症としてアトピー性皮膚炎を見ることもあります。顆粒層が減少し、角層肥厚が認められますが、これは脱落遅延が角層において生じるためです。

原因

皮膚乾燥及び落屑、角質脱落機能の異常が原因となります。これらはフィラグリンと呼ばれる物質の生成能が落ちたことに由来します。また、フィラグリンは保湿などの働きを表皮において作用させる物質のことを指しています。家族内発生の傾向があり、常染色体優性遺伝するとされますが、原因となる遺伝子は同定されていません。

治療法

ビタミンD3軟膏、尿素軟膏、保湿剤、サリチル酸ワセリンなどが用いられ、主に対症療法による治療方法となります。