伴性遺伝性魚鱗癬

症状

大きな鱗屑は暗褐色になっており、尋常性魚鱗癬(じんじょうせいぎょりんせん)の皮膚症状より重度になっています。発症は、誕生後しばらくしてからで、年齢を重ねても改善傾向を示しません。出生の際、全身に半透明からなる薄膜で包まれているケースもあり、これをコロジオン児といいます。また、体幹の内、腹部への症状が高度であり、四肢関節屈側も症状が出やすくなっています。夏が訪れる頃に軽快する傾向があり、冬に増悪し、これは尋常性魚鱗癬と似たようなものになっています。合併症では角膜混濁を生じやすくなっています。

原因

角質細胞の剥離遅延が伴性遺伝性魚鱗癬(はんせいいでんせいぎょりんせん)発症の原因であり、これはステロイドスルファターゼ遺伝子変異に起因します。この酵素はX染色体上に存在するもので、硫酸コレステロールを分解する作用を担います。硫酸コレステロールは角層で細胞間接着に貢献する物質です。ステロイドスルファターゼ遺伝子変異に起因し、角層細胞間において硫酸コレステロールが溜まって行く事で、剥離を遅らせると考えられています。男児に多く見られ、伴性遺伝します。

治療法

尋常性魚鱗癬と同様であり、ビタミンD3軟膏、サリチル酸ワセリン、尿素軟膏、保湿剤外用など、対症療法が中心となります。またステロイドスルファターゼ低下を認めることで尋常性魚鱗癬と鑑別します。