WDHA症候群

症状

短期間で大量の水溶性下痢が本疾患の特徴的な症状となります。大量の下痢によって便中にカリウムが過剰に排出され、これによって高度な低カリウム血症を引き起こします。また胃無酸及び低酸症を引き起こしますが、これらはガストリン及びヒスタミン刺激に影響を受けません。更に耐糖能異常や肝嚢腫大、皮膚紅潮、高カルシウム血症なども見られます。

原因

腫瘍がVIPと呼ばれるホルモンを生成するために多量の水溶性下痢を出現させます。VIPとは血管作動性腸管ポリペプチドのことを指しますが、これが胃液分泌を抑制する一方で、小腸分泌を刺激することから発生すると言われています。水溶性下痢のほか、胃無酸症や低カリウム血症などを出現させ、ヴェルナーモリソン症候群とも言われます。成人と小児ではVIP生成の過程が異なり、前者では膵臓ランゲルハンス島腫瘍及び褐色細胞腫となります。後者は神経芽腫群腫瘍となります。胃酸分泌を抑える働きの他、膵液や腸液の分泌作用や血管拡張作用から血流を増大させる働き、そして糖原分解作用など様々な働きをVIPは有します。

治療法

腫瘍の全摘出以外の症例では見通しも悪くなります。摘出手術を行った後にVIP産生腫瘍が全て摘出できたかどうかを血液のVIP測定で確認します。また下痢が続き、腫瘍が悪性で且つ転移を見る場合は、化学療法が行われます。その他、WDHA症候群では保存療法を低カリウム血症及び脱水に対して適用します。水溶性下痢を改善させるためにはサンドスタチンなどが用いられます。