遺伝性痙性対麻痺

症状

遺伝性痙性対麻痺(いでんせいけいせいついまひ)では収縮、ひきつけ、脚部の痙攣が主な症状であり、過剰な反射を示します。次第に歩行も支障が出てきて、強張りから脚の動作もぎこちないものになっていきます。そのため歩行もフラフラとし、つまずいたりしますが、これはつま先を引きずって歩行するためと言われています。生命には影響を及ぼさないもの、緩やかに進行し青年期に至ると症状も安定する傾向にあります。本症はシュトリュンペルロラン病とも呼ばれていますが、一割程度の方に痴呆、精神発達の遅れ、末梢神経障害、難聴、眼の症状、筋肉をコントロールする働の障害などが見られます。また、脚部だけでなく腕においても筋肉硬直や脱力といった症状を示す方もいます。他にも、異常な反射が足指に生じることもありますが、これはバビンスキー徴候と言われているものです。診断は家族歴の聞き取りによって行われます。また脊髄圧迫及び多発性硬化症などとの識別も必要とされます。

原因

あまり見られない疾患ですが遺伝が原因で次第に筋力低下と共に脚部の痙攣を引き起こします。家族性痙性麻痺(かぞくせいけいせいまひ)は本疾患のことですが、優性遺伝であるため大半の子供に遺伝することになります。発症年齢は幅広くなっていて、男性、女性共に大差はありません。

治療法

人によっては車椅子や松葉杖の利用も必要とされる場合もありますが、通常は症状を軽減する治療方法が行われます。疲労を緩和させたり、痙攣を防いだり、関節可動域の向上、筋力保持、運動機能をそれ以上低下させないなどといった目的で理学療法及び運動療法が適用されます。またダントロレンやクロナゼパム、チザニジン、ジアゼパム、そしてバクロフェンといった薬物は痙攣を緩和させる目的で使用されます。