亜鉛欠乏症候群

症状

味覚異常、免疫不全、生殖機能不全性小人症、皮膚異常、認知機能障害、夜盲症、創傷治癒遅滞などが亜鉛不足から引き起こされます。通常の食生活で、成人の亜鉛不足はほとんど見られませんが、クローン病や亜鉛を含有しない完全な非経口栄養、土食症、グルテン腸症に起因する吸収障害、短腸症などによって亜鉛欠乏症候群(あえんけつぼうしょうこうぐん)を発症する場合があります。尚、腸性肢端皮膚炎は皮膚炎をはじめ、発達障害、細胞免疫不全、眼感染症、創傷治癒の遅滞、下痢、脱毛などから出現する、先天的な亜鉛の吸収障害を呈する病態であり、常染色体劣性遺伝します。いずれも新生児期から乳児期において見られるようになり、放置すると数年で死に至ります。

原因

亜鉛供給不全若しくは吸収障害が先天的或は後天的に発症することが原因となります。亜鉛は生体膜の過酸化脂質発生を阻害しますが、これはフリーラジカル生成を抑制する働きに由来します。また細胞膜を保護する働きがあり、こちらはリソソーム膜を安定化させる作用を有することに起因します。他の酵素を補助的に補う分子族として位置づけられており、生体に必要な成分の一つとなっています。更に味覚や中枢神経系、細胞免疫系の成長に関与しており、つまり亜鉛が不足することによってこれらの機能に支障をきたすことになります。

治療法

早期発見、早期の亜鉛投与が重要であり、これによって見通しも良くなります。グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛といったものが適用されます。