ビダール苔癬

症状

神経皮膚炎(しんけいひふえん)のことで、肌が厚くなってキメも荒くなります。ビダール苔癬(びたーるたいせん)での皮膚の色は灰白色を呈し、発疹は楕円形から帯状となります。一般に首の裏側に丘疹を出現させる傾向にありますが、瞼や前腕、下腿に現れることもあります。痒みは高度であり、次第に掻くことで融合して楕円形状の紅斑を形成していきます。痒みは他に集中していると感じられないこともあるようですが、これは気にすれば痒みを強く感じ、気にしなければほとんど感じないこともあるということを示唆しているものと考えられます。患部は乾燥して盛り上がりを見せ、厚くなっていきます。またビダール苔癬は、男性より女性に多く見られ、中でも中年女性に認めます。本疾患は慢性の皮膚炎です。

原因

糖尿病若しくは透析を行っている人に認めるケースもありますが、乾燥肌の人がビダール苔癬を招きやすいと言われます。また同じ部位を繰り返し掻く習慣を形成してしまった場合にも認められます。本質的には、刺激による痒みが原因であり、毛髪や着ている服などの外部刺激によって同じ場所を何度も掻くことで皮膚炎を引き起こし、患部の融合と共に拡大を示します。

治療法

通常、ビダール苔癬では外用のステロイド薬が用いられますが、外用のテープが使われることもあります。また、痒みを緩和させるには抗ヒスタミンや抗アレルギー薬が使われます。ビダール苔癬では、痒みを誘引する刺激を突き止めることが大切であり、着ている服であれば刺激の少ないものを選ぶようにします。また、皮膚の厚みや乾燥が残存するのに痒みをあまり感じられないという理由で、治療を中止しないようにします。これは本疾患が再発しやすい傾向にあるためで、患部が完治するまで継続することが望まれます。尚、診断には皮膚生検やパッチテストなどを行うこともありますが、これはアトピー性皮膚炎や扁平苔癬、尋常性感染、接触性皮膚炎など類似の症状を示す疾患も疑われるためです。ただ、ビダール苔癬では腕、脚、首のうなじといった特定の場所に、痒みを伴った特徴的な盛り上がりと紅斑を示すため、大抵は容易に診断されます。