症状
眼には血管様線条が認められ、これは眼底において血管走行状に枝分かれした線条を認めるものです。弾力線維性仮性黄色腫(だんりょくせんいせいかせいおうしょくしゅ)は眼だけでなく皮膚症状を併せて発症することもあり、眼底出血を生じることもあります。多くは視力障害から治療を受けるケースであり、二十代から四十代にかけて訴えます。心血管系症状においては時として生命を脅かすことがあります。心筋炎や大動脈炎、動脈硬化、間歇性跛行若しくは間欠性跛行(かんけつせいはこう)、胃などの内臓出血、高血圧、動脈硬化などがこれにあたります。皮膚症状では柔軟性があって黄色っぽい米粒ほどの大丘疹が楕円形から紡錘形状に密集して沢山発生します。肌は緩み、歳とともに悪化する皺が特徴で、網状局面を作ります。肘窩、鼠径、腋窩といった関節屈曲箇所、側頸部などに見られ、一般には二十歳を超えてから見られます。また口内、直腸、軟口蓋においても発疹を出現させることがあり、少ないケースで蛇行性穿孔性弾性繊維症を合わせて発症することもあります。
原因
ABCC6遺伝子異常が弾力線維性仮性黄色腫を引き起こすのが原因であり、皮膚及び血管壁において弾性繊維の系統的変性を見ます。この遺伝子はATPカセットファミリーの範囲に入り、常染色体性劣勢一型及び二型、並びに優性一型及び二型が存在します。男性の場合、発症すると重症化するケースが多い一方、この弾力線維性仮性黄色腫は女性に多く見られる疾患です。劣勢二型は肌に限定して生じ、ほとんど認められませんが、劣勢一型より優性二型のほうが高度な症状を出現させます。
治療法
形成外科的に手術を弛緩皮膚に施すこともありますが、弾力線維性仮性黄色腫に限った治療法は存在しません。皮膚に対しては美容目的というべき治療となります。