皮膚粘膜眼症候群

症状

多形紅斑(EEM)の重症型で、粘膜及び全身症状を随伴させます。肌には水疱、びらん、紅斑といったEEM様発疹が出現します。口腔、鼻、目、気道、肛囲、外陰といった箇所に粘膜症状を示し、熱の上昇、筋痛、関節痛、胃腸障害などの全身症状を出現させます。また、食べ物の摂取や排尿及び排便にも障害を及ぼし、体表面のおよそ一割以下で水疱やびらんを認める場合に皮膚粘膜眼症候群(ひふねんまくがんしょうこうぐん)とされます。一方、体表面の三割以上で水疱やびらんを認めるケースでは中毒性表皮壊死症(TEN)に分類されます。古くは様々な名称で呼ばれていた時期もありますが、近年では多形紅斑の重症型として位置づけられています。目においては角膜潰瘍や混濁、癒着、結膜炎を招き、視力障害から失明に至るリスクがあります。

原因

ハッキリ原因が分からない症例もありますが、肺炎マイコプラズマや単純ヘルペスといった感染症を伴うことがあります。多くは抗生物質や抗てんかん薬、鎮痛解熱剤といった薬剤に起因していると考えられています。皮膚粘膜眼症候群は原因の大半が薬剤とされており、時に水疱や表皮剥離を引き起こします。診断基準では、重症の粘膜疹が口唇、外陰、目などに認められ、発熱を伴うこと、水疱及びびらんは体表面10%未満であることとなっています。また、非典型的ターゲット状多形紅斑からなる皮疹を形成し、表皮壊死性変化が見られる場合との副所見もあります。

治療法

原因が薬剤であれば、その変更か中止が検討されます。初期であれば点滴注射で副腎皮質ステロイド薬を投与したり、血漿交換療法、免疫グロブリン大量投与などが実施されます。ウイルス感染では全身管理と共に抗ウイルス薬が用いられ、マイコプラズマ感染ではマクロライドやテトラサイクリンといった抗生物質が投与されます。皮膚のびらんが全身に広く見られるケースでは、重症の火傷の治療法に準じます。目の後遺症を残存させる症例もあり、酷くなると失明に至ります。死亡率は数パーセントから20パーセントとされています。また皮膚粘膜眼症候群より中毒性表皮壊死融解症のほうが死亡率も高くなっています。