放射線障害

症状

放射線障害(ほうしゃせんしょうがい)では急性或いは亜急性若しくは慢性放射線皮膚炎を示します。急性では灼熱感や疼痛と共にびらんや浮腫、紅斑、水疱を形成します。10Gyを上回ると、突然難治性潰瘍を出現させる恐れがあるものの、通常毛細血管拡張及び萎縮、永久脱毛、色素異常などを残存させながら治っていきます。亜急性ではより紅斑や色素沈着などが高度に現れます。落屑は30Gyで見られ、びらんは50Gyで形成し、前者ではあまり後遺症を残しませんが、後者では色素異常や萎縮を呈します。慢性では萎縮期、角化期、潰瘍期、癌化期に分けられます。萎縮期では色素異常や永久脱毛、肌乾燥、爪の異常、ツヤ、小皺などを出現させます。角化期では疣状若しくは肥厚硬化を招きます。潰瘍期には難治性潰瘍を容易に形成しやすくなります。癌化期は放射線照射から数十年経ってから訪れるもので、大抵有棘細胞癌となります。尚、Gyとはグレイと呼ばれるもので、取り込んだ放射線エネルギーの総量を示す単位です。一方、Sv(シーベルト)は人間が取り込んだ放射線の影響がどのぐらい現れるのかを数値化した単位となります。

原因

X線や粒子線をはじめ、放射性物質などが原因となります。線源の違いはあるものの、基本的に同じような障害を招きます。尚、本疾患はラジウム皮膚炎やレントゲン皮膚炎などを出現させますが、それらを総称して放射線皮膚炎と言います。

治療法

急性期には熱傷に則った治療が行われます。慢性期では癌化を防いだり、外科的に機能障害などを取り除いたりします。また油性の軟膏を用いたりして、外部の刺激から肌を守ります。癌化期では、放射線療法の他、抗腫瘍薬を用いたり、外科的な治療法などが採用されます。