黒色分芽菌症

症状

黒色分芽菌症(こくしょくぶんがきんしょう)は黒色真菌感染症の一つであり、慢性に経過します。稀に疣状皮膚炎を形成することがあります。これは特に下肢において、乳頭から疣状を形成するものですが、少ないケースで盛り上がりのほとんどない局面型を認める症例もあります。たまに肺やリンパ節、腸、肝臓、脳などの臓器において転移を招くことがあり、中でも小児に認められます。脳転移をきたすと生命を脅かすこともあります。しばしば皮下膿瘍型を示します。

原因

Fonsecaea pedrosoiと呼ばれる原因菌によるものがほとんどですが、Phialophora verrucosaによる場合も認められます。黒色分芽菌症は、ステロイド薬の使用や免疫抑制療法、肝不全、糖尿病、悪性腫瘍、RA、全身性エリテマトーデスなどによる免疫不全の条件のものと、日和見感染するケースが多いとされます。尚、スポロトリコーシスや皮膚疣状結核、慢性膿皮症などとの識別を要します。

治療法

内用によるテルビナフィンやケトコナゾール、5FCなどのほか、局所注射によるアムホテリシンなどが有効とされます。また、温熱療法が採用されたり、状態が小さければ切除することもあります。尚、5FCは耐性菌が発生しやすくなっており、ケトコナゾールは肝臓の障害を招く恐れがあります。