老人性皮膚掻痒症

症状

皮膚掻痒症では発疹が著明に肌へ出現することなく、痒みが生じる病態です。老人性皮膚掻痒症(ろうじんせいひふそうようしょう)はお年寄り見られる皮膚掻痒症ですが、通常、痒みから掻き破る行為をし、軽い苔癬化に至ります。皮膚掻痒症そのものには汎発性及び限局性があり、これに加えて特殊な病態として老人性のものが存在し、これが本疾患となります。お年寄りの肌は冬場に乾燥しやすい傾向にあり、老人性乾皮症を招きやすくなっています。掻痒症も招き易くなっており、これは外部からの刺激に対する抵抗力が弱っているためです。特に下腿へ出現することが多く、それを掻き破ることで湿疹や貨幣状皮膚炎を続発させてしまいます。老人性皮膚掻痒症では皮脂欠乏性皮膚炎、或いは乾皮症性湿疹を招きます。

原因

汗の量が少なくなり、遊離アミノ酸の減少、角層間及び表皮における脂質の低下、そして角層堆積などが原因となります。皮表では皮脂腺に関わるトリグリセリドが少なくなり、角層間では角層細胞間脂質セラミドが減少します。また遊離アミノ酸は天然保湿因子であり、これが減少することも原因です。

治療法

外用の保湿軟膏若しくはローションの他、ステロイド薬を塗布します。また抗ヒスタミンや抗アレルギー薬、精神安定剤などを投与する場合もあります。老人性皮膚掻痒症では日常から皮脂を過剰に除去してしまう石鹸の利用を控えたり、タオル使用時にもあまり力を入れないようにする工夫が必要です。身に着ける下着にも配慮し、なるべく刺激性のないものを選びます。尚、本疾患では元となる病気を見つけ、それを治療しなければなりません。