老人性紫斑

症状

高齢者の手背及び前腕伸側萎縮皮膚に認めます。老人性紫斑(ろうじんせいしはん)は確認しにくい軽度な外傷で、紫紅色から褐色に変化し、これを繰り返します。外傷は斑状出血であり、これは弾力線維変性などによるもので、支持組織が弱まって血管が破れやすくなっているためです。このため不十分な結合組織間において広がり、古い紫斑と新しいものが混在し、取り込む機能も劣っていることから吸収に数週間かかります。少ないケースで刺すような痛みを生じることもありますが、通常痛みを引き起こしません。初期では赤っぽくなりますが、次第に黄色っぽくなり、消失して行くのが特徴です。老人性紫斑では、外部からの刺激に晒されやすい両側の前腕や手の甲などに赤紫っぽい斑状の紫斑を示します。

原因

老化が原因とされています。毛細血管の抵抗性が弾力線維および膠原線維の萎縮によって弱くなり、同時に真皮も薄くなって内出血を生じます。これらは老化によるもので、容易に機械的刺激から血管壁障害を招きやすくなります。老人性紫斑は老化現象からくる皮膚結合組織における器質的変化の関与が示唆されています。多くは高齢層である60歳以上のかたの前腕や手の甲に見られ、加齢による皮膚弾力低下からちょっとした刺激で、紫斑が発生しやすくなります。

治療法

老人性紫斑は機械的刺激から生じるため、肌を保護する手袋などの着用が薦められます。通常、数週間程度で自然消滅するため、特にこれといった治療法はありません。ただ、外用のステロイドを用いた症例では、ステロイド紫斑を招くことがあります。診断では肝機能検査に加えて出血凝固系検査なども実施されます。また、全身的な変化も観察します。