治療過程はまず診察から診断し、治療の方向性を確定して、治療を実施します。これは現代医学も東洋のそれも同様ですが、弁証論治(べんしょうろんち)とは東洋医学で用いられる上記の手順を言います。つまり、理・法・方・穴・術、若しくは理・法・方・薬のことを指しています。疾患の症状からその原因を追究することを「理」といい、治療の方向性を決定することを「法」と言います。また実際の処置を確定することを方(ほう)・穴(けつ)と言います。漢方薬を用いて治すことを「薬」といい、鍼灸によって治療することを「術」と言います。
東洋医学では証を決めることを弁証と呼んでいます。身体の全てを総合的に判定したもので、体質なども含めて評価されます。証が明確にならないと治療を行うことができないため、東洋医学での治療はこの「証」から始まります。具体的には身体や精神状態などを見て、詳細に診察していきます。
この診察の方法には四診(ししん)が採用され、つまり、望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せつしん)が行われます。得られるデータの範囲は非常広く、直接疾患と無関係と思えるものも取得するケースがあります。これは体質を判定するために、欠かせない情報もあるからです。最終的には個々別々に取得されたデータを元にして、証が確定するわけですが、その際東洋医学独自のロジック、つまり統一体観(とういつたいかん)などと照らし合わせます。