病気の進行過程~実証と虚証の争い~

正気(せいき)と邪気(じゃき)が争っている状態が病気のプロセスと言えます。その中で両者が共に強いと、より酷い争いになり、出現する症状も急性で重篤な病状となって耐え難い苦しみを生じることになります。邪気の勢力が高まっていても正気が弱くなっていなければ、実証(じっしょう)と言い、この場合正気がそのまま強さを維持し、邪気を抑制することができれば、いずれ病状は改善します。また、多くの場合長引く事はありませんが、それだけに症状は非常に重く、苦痛を伴います。

こういった実証は津液や血、気が体内で滞っていたり、外邪(がいじゃ)、暑邪(しょじゃ)、風邪(ふうじゃ)といったものに由来する病気中期までの過程で引き起こされることが多いと考えられています。

一方、邪気が弱っているものの正気も同時に弱っている場合の病気は、虚証(きょしょう)と言います。邪気と正気の争いは実証のそれと比較すると穏やかであり、あまり表に強い症状を示しません。しかし、どちらも押さえ込まれない事になるので、慢性化しておいそれとは回復しません。