宣発(せんぱつ)は外側若しくは上側に津液(しんえき)と気を巡らせる働きのことを言います。粛降(しゅくこう)は内側と下側へ津液と気を循環させる作用のことを指しています。肺のバランスが変化するとこの宣発及び粛降の働きに異常を来たすと考えられています。
肺のバランスの変化は発汗と邪気への耐性に影響します。衛気(えき)は体表を守って邪気が入り込むのを阻止している気のこと言います。この衛気は宣発によって人体の表層をめぐらせているため、宣発に異常が生じると邪気が身体内部に入り込みやすくなります。つまり肺に異常が発生すると汗線を調整する衛気がうまく巡らないため、延いては汗腺も閉じられ、発汗が見られなくなります。
粛降は精気を外界から取り込む働きを持っています。肺の異常からこの作用に支障を来たすと、喘息などの疾患を招くとされます。宣発がおかしくなると粛降も変化し、どちらともに異常を認めるようになると、呼吸困難や喘息、呼吸数増加などの障害が出ると考えられています。