周囲の環境や時間、季節と強くつながると考えられている外邪(がいじゃ)の疾患ですが、住まいとする所に湿気があれば湿邪(しつじゃ)に攻撃されやすく、寒いところであれば寒邪に侵されやすいと考えられています。喉痛や頭痛、鼻づまりといった症状は身体の上側で見られる傾向にあり、これらは移動の特性を持つ風によって風邪(ふうじゃ)に侵されていると考えられます。この場合、東洋医学では身体の様々な場所に症状が移動するとされます。また風邪のケースでは風と一緒にあらゆる外邪を導いて身体に入り込むと考えられているため、一つだけではなく幾つかの外邪によって疾患を招くとも言われています。
下痢や手足の冷えなどは寒邪(かんじゃ)が体へ入り込んだ場合に招かれるとされ、特に初期症状のカゼではこういった状態を招く場合が多いとされます。温煦(おんく)作用は身体を暖める働きですが、こういった体の中の陽気(ようき)は寒邪によって抑えられると言われています。更に血や気を集める性質があるとされるため、これらの循環は停滞すると考えられます。滞り、それが詰まってしまった箇所には痛みを招くとも言われています。
身体の上側に上昇傾向を示すとされる暑邪(しょじゃ)は熱です。目の充血や顔面紅潮などが代表例で、顔に症状を呈します。津液である汗は、暑さによって汗腺を開口し外部に出てきやすくなります。適度であれば問題ありませんが、過剰に汗が出てくると津液が不十分になり、口渇を引き起こします。痙攣や呼吸困難、脱力感などを見るケースもありますが、これは気も汗と一緒に出て行ったためと考えられます。暑邪でよく知られているものでは、熱中症が上げられます。