虚実・寒熱・八鋼弁証

八鋼弁証(はっこうべんしょう)ではまず表裏弁証が行われます。次いで虚証(きょしょう)と実証(じっしょう)を判定する虚実弁証(きょじつべんしょう)が実施されます。証の名称は正気(せいき)と邪気(じゃき)のいずれが活性しているかで決まります。正気の不足は津液、血、気、精のどれかが正常でなくなると発生します。虚証(きょしょう)とはこのことを指していて、気虚は気の不足です。陽虚(ようきょ)は体の中の陽気が不十分になっていることを指しています。寒邪(かんじゃ)は外邪(がいじゃ)の一つであり、外邪が体内へ入り込むと邪気が高まります。この状況を実証(じっしょう)と呼んでいて、実寒(じっかん)は寒邪が体内へ入り込んだ状態を言います。実熱(じつねつ)は身体の裏へ外邪が入り込んで熱を生じた状態です。

病気の特徴を寒と熱に分けたものが寒熱で、虚実弁証に次いで行われるのが寒熱弁証(かんねつべんしょう)です。陰陽の混乱に影響され、寒証(かんしょう)は陽の弱体化若しくは陰の増強を意味します。この状況だと常時寒さを感じ取り、冷えた手足が特徴です。一方、熱証(ねつしょう)は陰の弱体化、陽の増強を意味します。冷えた場所を選び、常に暑さを感じます。

八鋼弁証を締め括るのが陰陽です。陽証(ようしょう)は、熱証、実証、表証のことで、陰証(いんしょう)は、寒証、虚証、裏証です。東洋医学の疾患はその全部が陰と陽のいずれかに分かれます。しかし陰陽そのものは細かく考える部分がないため、いずれの証に分類されるか寒熱、虚実、表裏に関して検討すればよいと言われています。証の立証は錯綜して難解と感じられる傾向にありますが、分かりやすいのは八鋼弁証と言われているため、採用されやすいとされます。