腹満(ふくまん)は東洋医学で腹部が膨らんでいる状態を意味します。この場合、虚証(きょしょう)であれば、腹部を押しても張りが見られず柔軟性があって、痛みも感じられません。どちらかといえば快感に感じられる事さえもあるようです。反対に実証(じっしょう)であれば、押した際に痛みを生じ、硬くなっています。津液や血が滞っていると推測されます。
小腹硬満(しょうふくこうまん)は於血(おけつ)によるもので、血が滞っていると考えられます。肝臓疾患や生理異常に原因することが多く、臍の下辺りに押すと不快感を感じ、硬いものが触れます。女性に見られる於血には少腹急結(しょうふくきゅうけつ)もあり、こちらの痛みは左下の腹部です。胃内停水(いないていすい)は水分代謝に異常を来たし、脾が悪くなっていると考えられます。胃下垂を招いているケースが多く、胃内部に水分が蓄積している症例が多いとされます。このため、軽度にみぞおち周辺を叩くと、水の跳ねる音が胃内部で聞こえます。胸脇苦満(きょうきょうくまん)は胆道や肝臓に支障を来たしていたり、ストレスを抱えている可能性があります。つかえ感や張りがみぞおちから肋骨下部左右に感じられ、不快感が押す事で生じます。小腹不仁(しょうふくふじん)は腎虚(じんきょ)の病状であり、お年寄りや足腰の弱っている人に多く認められます。下腹部における筋肉が低下しており、押すと簡単にへこみを生じます。心下痞硬(しんかひこう)は消化器疾患で出現する傾向にあり、つかえ感がみぞおち周辺に生じます。
その他、臍下悸(さいかき)、臍上悸(さいじょうき)、心下悸(しんかき)など大動脈に触れるケースもあります。それぞれ臍の下、その上側、みぞおち周辺を指していて、血と心を循環させる働きが低下しているものと思われます。