食欲不振なのかどうかをみるのが飲食の問診(もんしん)です。摂取する量をみるほか、口内での味覚異常やお腹がすいているのに摂食できない、口内が粘ついて乾燥しているのかといったものです。東洋医学では、胃と脾に変調を来たすと、食欲減退を招くとされます。胃の機能が亢進すると食欲が高まり、食べてもすぐにお腹が減ります。これは胃の働きが高くなりすぎているためです。また軟便で消化不良を起こすものの食欲が旺盛な場合は、脾の機能が落ちていても胃の働きは高まっていると考えられます。
人間の体は機能低下した臓腑などが足りないと感じたものを求めるようです。これは自然に生じる現象ですが、飲食の問診ではその人の好きな食べ物も大切な情報となります。人によっては身体を暖める生姜(しょうが)や温かい食べ物を好んで食べるケースもありますが、これは冷え性の人に見られる現象です。また酸は五臓の肝に対応しているため、酸っぱいものを好んで食べる場合は肝に問題があると推測されます。どちらの場合も不足しているものを補えば、それに連なって改善が見られるようです。