腎精不足~精の病気~

天癸(てんき)は生殖能に関係しており、その完成を促進させる物質のことを言います。特定の年齢に達すると人間は生理的変化が見られます。これは腎中の精気によって発生すると考えられていますが、加齢と共に衰弱していくものでもあります。

精は先天のものと後天のものがあります。前者は誕生時から備わっているもので、後者は体の中で生成されるものを指しています。精は腎において蓄えられていますが、脾において作られています。この精が足りなくなって発症する疾病を腎精不足(じんせいぶそく)と呼んでいて、この疾患には腎と脾が関与しています。

東洋医学でいう精の病気は不足から発生しますが、過剰によって発症することはないと考えられています。腎精不足は精が不足するために引き起こされるわけですが、この状態になると腎の固摂(こせつ)の働きも弱まります。つまり、便や尿を留めて置くことが難しくなって漏らしてしまったり、夢精や流産などを招きやすいとされます。