正気/邪気

体に悪影響を与えて、病気を招く要因になるものを邪気(じゃき)と呼び、反対にその悪影響に抵抗し、病気を治そうとする自然治癒力を正気(せいき)と呼びます。体に悪いウイルスや細菌に攻撃されて体内の調節機能が崩壊しても、もともと人間にはこれに対抗する自然治癒力が備わっています。つまり、正気がきちんと備わっていれば、回復することも可能という訳です。こういった自身をコントロールする作用を東洋医学では正気の力と呼んでいます。

近年、西洋医学だけでは足りない部分を東洋のそれで補おうとする方法が注目を浴びています。いわゆる代替医療で補おうとするものですが、これには理由があります。例えば、近代医療で癌治療をした場合、異常の認められない組織までも放射線などによって破壊されます。つまり、邪気を除去するだけでなく、正気までも弱体化させてしまいます。このため、西洋の技術で対処しながら、弱体化させられた正気を回復させようと試みて、東洋の技術が取り入れられているということです。

この正気を補助することを扶正(ふせい)と呼びますが、現代の代替医療の考え方では中核をなしています。一方、邪気を除去する事を去邪(きょじゃ)と呼びます。