按診(あんしん)は身体に触って診ることを言い、脈診(みゃくしん)は脈をみることです。この二つを切診(せっしん)と呼んでいて、患者の身体にそのまま接触する診察を意味します。寸口(すんこうは)は寸、関、尺に分類され、東洋医学で言う脈診の対象となる部分です。通常、これらの位置にそれぞれ指を接触させて、脈へ触れます。その際、心臓と腕の高さを同じにし、上側に手の平を向けます。
脈象(みゃくしょう)は指で感知可能な脈の形です。つまり、脈の強さやその調子、出現の程度などを総称したものです。これは脈診に含まれる診察のことで、ただ脈拍数を測るというものではありません。身体に入り込んだ邪気や陰陽、正気と邪気の均衡の程度などを知る上で脈象は重要です。
東洋医学では、右手の尺が腎に対応し、関=脾、寸=肺となります。また左手の尺は腎に対応し、関=肝、寸=心となります。脈はこれらの臓腑に障害が出現すると混乱すると言われており、それぞれ対応する部分から身体の状況を知ることができます。左手の関に脈が強く出現すると、肝に変調が出ていると考えられ、風邪などの症状では右手の寸の脈が強く現れると言われています。