舌苔~気と津液~

舌苔(ぜったい)は舌の表面に見られる白色の薄い毛で、健康であれば表層は或る程度湿っています。通常そろった大きさですが、東洋医学ではその厚さから病気の状態を探ります。つまり、厚くなっていると病気は重く、進行具合も深いとされ、薄いと軽度の病状と判断されます。

一方、舌苔の色調は病気の特徴を掴むのに有用とされます。湿邪(しつじゃ)や寒邪(かんじゃ)、熱が体の中に入り込むとその色は灰色になるとされます。熱証の場合、舌苔は黄色っぽくなり、熱の高さに比例してその色調は濃度を増します。寒症のケースでは舌苔の色調が白っぽくなるとされます。

気や津液が不十分になると、舌苔は乾燥しますが、これは気が不足して舌にまで津液が上がってこないからと考えられます。津液の異常は舌苔の乾燥の程度から判断されます。表面に水分が過剰になってツルツルしていれば、体内において津液が停滞し、その流れが悪化しているものと思われます。反対に湿邪(しつじゃ)が篭ると舌苔は剥離しにくく、粘着性を有すると共に細かくなるものと考えられます。また食あたりでは剥離しやすい舌苔でそれが大きくなっているとされます。更に胃が弱まると舌の表層が滑らかになり、舌苔も剥離します。