臓腑/ぞうふ

東洋医学では五臓に神が存在すると考えられています。神が存在しなければ、生体は維持できないという思想です。また神の名称は臓によって異なり、肝では魂(こん)、肺では魄(はく)腎では志(し)、脾では意(い)、そして心では神(かみ)といいます。この内思考や知覚、呼吸、決断などの精神活動を担っているのが心の神であり、残りの四つ神の頂点に立ちます。意は簡単な考えや記憶を司り、志は目的を個々に思考します。魂及び魄は本能や無意識の領域を支配するもので、心の神の制御が抑えられる睡眠中などに魂魄が活性化すると考えられています。また魂は夢などを司り、魄は通常生活の無意識の領域と本能的な行動、集中力の維持などを担うと考えられています。

人間の体は東洋医学において形・気・経絡の類に分類されます。形の類は、器官や組織をはじめ、臓腑を構成するものを意味します。気の類は三宝(さんぽう)から構成されていて、精・神・気で成り立ちます。精は活力を指していて、気は力を意味します。神は上述した通りです。また、精は先天と後天に分類されます。先天の精は腎臓に蓄えられており、もともと両親から受け継いだものです。これによって体の組織を形成し、発達させていきます。後天の精は胃及び脾から取り込まれて、養分である水穀の精微に変化します。つまり、両親から受け継いだものではなく、自身で発生させるものを指します。