一般に明らかな言葉の発達の遅れを認めませんが、問題となる部分が全くないというわけではありません。例えば、仲間とルールの中で遊ぶことを不得意としたり、暗黙の了解が理解できなかったりします。しかしこの場合、理解すれば逆にそのルールを細かく守ろうとする傾向もあります。中でも良く見られるのが、言葉の比喩表現が分かりにくかったり、場違いの言葉遣いをしたりなどです。
アスペルガー症候群の人は、こういった微妙なニュアンスの理解を不得意とするため、周りとのトラブルをしばしば起こします。例えば冗談が通じず、相手の言ったことを真に受けてしまいます。またことわざなども文字通りに解釈しようとするため、場合によっては特定のことわざの意味が分からなくなってしまうこともあります。ただ、アスペルガー症候群での語学水準は高機能自閉症のそれより高いと言われています。
いずれにしても基本的には語学の教育や社会性の経験を通して人間関係のスキルの上昇を目標にします。アスペルガー症候群では権威などを無視する傾向にあるため、年配の人に丁寧な言葉遣いをするといった配慮に欠けます。このことが生まれながらの民主主義者と言われるゆえんです。またこういったことを踏まえて、あらゆる意味を真に理解してくれるのを根気よく支援していきます。そしていずれ人の考えが分かるようになる時期が訪れたとき、自分が周りに溶け込んでいないことに気づくかも知れません。その時、必要以上に自分への評価を低くさせないよう、前もってアスペルガー症候群の特徴を本人へ説明しておく必要性もあります。