かつては心因説に基づいて、子育ての影響を受けているものと指摘されていましたが、その後、脳の器質的障害によって発生するものと考えられるようになりました。これは言語発達の遅れや知覚及び脳波異常、癲癇、知的障害を随伴させるケースが多かったためで、近年ではこういった脳の器質的障害から自閉症が発生することは間違いないと言われています。
しかし、原因の八割以上は遺伝的素因などハッキリ分かっていません。また従来、1万人に4人程度の発生頻度と考えられていましたが、現在では1万人に120人ぐらいいるのではないかとの指摘がなされています。これは自閉症の発生頻度が現在も上昇していることと、スペクトラムや自閉症に対するおおよその考え方の移り変わりの影響によるものと思われます。更に女児より男児の頻度が高く、その値は3倍以上とも言われており、人種などによる変化は認められないようです。
その他、原因として考えられるものは出生前から出生後まで多彩です。点頭てんかん、周産期障害、水頭症、孔脳症、レックリングハウゼン病、結節性硬化症、高尿酸血症、フェニルケトン尿症、プリン代謝異常症、サリドマイド、アルコール、抗癲癇薬、インフルエンザ、サイトメガロウイルス、風疹なども自閉症の原因の対象となるようです。