行動療法

煽てることと叱ることを併用して、行動を変えていくことを目的にした治療法を行動療法と言います。ADHDでは無意識に問題行動が出現しているため、当人を説得しても当該行動が思うように変わることはあまりありません。当人の意思と無関係に症状が出現しているからであって、これを改善させるために行動療法が実施されることもあります。

ADHDの行動療法では、タイムアウトやトークンエコノミーと言われる方法がよく知られています。
行動療法のタイムアウトは問題行動をとった時に一旦止めさせ、それを適正な行動へ変えていく方法です。ADHDの子供にはあらかじめ問題行動を認識させ、その行動をとった時に何度か注意します。それで従わなかったケースにおいて、ジッと座らせるなど、我慢する時間をおよそ数分間、体感させます。終わってから我慢したからといって褒めることはせず、我慢させている間に話しかけてもいけません。これは当人にとって早く終わらせたい事柄でなければ有効とならないためです。

行動療法のトークンエコノミーはいわゆる減点と加点という考え方を用いたもので、単に褒めるだけでなく、褒美を形として与える方法です。つまり、やってはいけない行動をとれば減点し、掃除などの罰を与えます。そして良い行動が見られれば加点し、ある点数以上で目に見える褒美を与えるようにします。この方法は何もADHDに限らず、普通の子供の教育に対してもよく使われる手段です。主な特徴は叱られることがないので自尊感情を傷つけることがありません。問題行動に対しては減点が基本になるからです。