かねてから脳や知的な障害を顕著に示さないのに、多動性や衝動性、注意力障害などを認める子供がいることは指摘されていました。以前はこれを微細脳損傷と言っていて、これは検査でも確認できない僅かな脳の損傷が原因ではないかと考えられていたためです。それから時間の経過と共に脳の器質的損傷に由来するものと捉えられるようになり、脳そのものの損傷ではなく、その働きに支障をきたしているのではないかと推測されるようになりました。とはいえ、その症状も多岐にわたる為、ADHDのおおよその捉え方もあやふやです。そういった問題を解決するため、集中することや注意欠陥から捉えた注意欠陥障害と多動性に重きを置いた多動症候群という言葉が誕生し、その後これらをまとめてADHD、つまり注意欠陥/多動性障害と呼ぶようになりました。
ADHDの特徴としては、大人しくすることが出来ず、気が散って落ち着きがないというものです。また、感情が高ぶりやすく、乱暴な傾向もあります。こういった傾向は普通の子供にも認めますが、健全であれば年齢と共にある程度自分で制御できるようになります。ADHDを有する子供の場合、上記のような特徴が何時までも力強く継続的で、衝動的に目立ちます。結果、社会にうまく適応できなくなり、何らかの問題を招きます。
出現する特徴は、現状において性格的なものではないと言われています。これは脳の神経伝統系が通常と比較して特異的と考えられているためで、MRIにおいてもその違いが発見されているようです。またこれらは遺伝に左右されると考えられており、教育方針や生活環境といった後天的な理由によるものではないと考えるのが一般的となっています。とはいえ、周りの条件によっては特徴となるADHDの症状の出現の仕方が異なったり、周りの捉え方によってもあまりADHD行動が問題とならないといった違いもあります。