メタ認知・頭部MRI

状況から言葉の内容を的確に解析する能力をメタ認知と言います。相手側が発する言葉以外の内容を適切に推測するのに必要であり、小学校からの社会性の発達にメタ認知は欠かせません。この機能に問題があると、軽い冗談や比喩などをまともに受け止め、怒り出したりします。結果、その状況において適切な対応ができないため、仲間の輪の中へ入りにくくなってしまいます。

このメタ認知の弱さは右脳の機能が低下しているためではないかと考えられており、これは大脳半球における左右連合の不具合によるものです。ADHDで頭部MRIを使った報告例では、脳梁や軸索の低形成、前頭葉右側の軽い萎縮を確認したとするデータがあります。また、脳梁は大脳半球の左右を連結している所で、軸索は神経繊維を包む鞘に該当します。

実際のところ脳機能がどうなっているのかを確かめるには頭部MRIだけでなく、PETなどの検査も推奨されます。とはいえ、ADHDで見られる脳の構造上の問題はほとんどの場合が軽いです。また問題があったとしても全体のADHDから見れば一割程度です。ただ、脳の構造に問題があれば、そのケースでの治療を考案するために、可能であればPETなどの検査も取り入れるべきとされます。