DHA(ドコサヘキサエン酸)はセロトニンやドーパミンの基礎になる成分と考えられており、秋刀魚をはじめ、鯖や鰤、マグロなどに多く含有されます。いわゆる青背魚の類です。脳の発達にはこういった成分をはじめ、均衡ある栄養摂取が欠かせません。また、ADHDを認める場合は、特にセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質を作り出す食べ物を多く摂った方が良いとされます。セロトニンは制御に関係しているとされ、ドーパミンは学習や気力、運動制御、快楽などに関与していると考えられている物質です。とはいえセロトニンはトリプトファンから合成されますが、このトリプトファンは脳関門を通過しないため、トリプトファンを多く摂りいれても人間にとって重要とされる脳内セロトニンが飛躍的に増加することは期待できません。従ってトリプトファンをサプリメントなどで多量に摂ると、逆にその過剰摂取による副作用が懸念されます。ただし、一般的な食事からの摂取であれば問題ないようです。
ところで脳のエネルギー源はアデノシンミタン(APT)と考えられています。これによって脳が活動するわけですが、この物質の生成に必要なのがブドウ糖と酸素になります。つまり、簡単に言えば脳のエネルギーはブドウ糖になるわけです。一般に朝食で摂取する主食の炭水化物には、ご飯かパンが考えられます。ではどちらが脳にとって良い影響を与えるのでしょうか。基本的に日本人の主食であるご飯はパンに比べると穏やかに消化されていきます。このことは糖の供給が持続されることを意味しており、従ってパンよりもご飯の方が長く、脳へエネルギーを供給することになります。
結論を言えば、ADHDであっても普通の人であっても、基本的にはバランスの取れた食生活が脳に良い影響をもたらすことになります。