躾けの考え方

ADHDを有する子供たちに対する躾けは通常の子供への躾けとは異なるものと捉えましょう。無論、躾がADHDの子供たちにとって有効であるケースもあります。しかし、本疾患の特徴である注意困難を始めとする多動性や衝動性といった症状は周りからの叱責の対象となりがちです。とかく叱られることで次第に本人の自信を喪失させ、やる気を失わせることに繋がりかねません。結果、二次障害である不登校或いは非行といった道に走る可能性もあります。しかし、ADHDに起因する問題行動は、当人が意識してやっていることではないのです。これに対し叱責という躾で改善させようとしても良い結果は得られません。

とりあえず周囲の大人はADHDの子供たちに対して叱るという方法を改めなければなりません。ADHDで言う躾は褒めることが原則であり、当人の良い部分を見つけ出すことが大切です。例え問題行動ばかりしていても、それは問題行動が目立つだけで、必ず良い部分もあるはずです。仮に良い部分が僅かであってもそれは問題でなく、本人の努力に対して少々過剰に、一緒に喜んであげることが重要です。これは褒められる嬉しさを体感させ、記憶させることが目的であり、その結果問題行動を控え、適正な行動をしようとする精神を育むことにつながります。また繰り返して体感することでADHDを有する子供に自信をつけさせ、二次障害の発生を抑制することにもなります。

ADHDの子供たちとの接し方によっては社会不適合行動を起こすこともありますが、当該疾患は生まれ持った障害です。躾けや育て方が問題なのではありません。