化学物質である神経伝達物質には、ドーパミンをはじめ、セロトニンやノルアドレナリンといったタイプがあります。これらの神経伝達物質は一本の神経末端からその先にある神経へ向かって放出されます。この中でADHDと深い関与があるとされるのがドーパミンです。
脳は数億に及ぶ神経細胞のネットワークによって築かれており、その神経回路を介して様々なデータが伝達されています。その際に移動するのが電気信号ですが、シナプス間隙に限っては、神経伝達物質によって移動します。シナプスとは神経回路のネットワークに見られる間隙です。このようなネットワークは四歳頃までに完成すると考えられており、その後は神経伝達物質や神経細胞突起の数量によって脳の働きが成熟していきます。
しかしADHDではドーパミンなどの神経伝達物質が不足していると言われており、これによって衝動性や注意欠陥などを招き、年齢に沿った機能がうまく作用しないと言われる所以です。またこの神経伝達物質が完全に不足しているということでもありません。