言葉の発達や知能水準には問題がない

医学的見地からは自閉症などと同様の分類がされており、そのため類似するところも多くなっています。この自閉症には三つ組の障害と呼ばれる特徴があり、一つはコミュニケーション、次に社会性、そして想像力です。これらが不足する訳ですが、その特徴はアスペルガー症候群においても観察できます。

ではどこが異なるのかと言えば、アスペルガー症候群では言葉の発達が普通に進むところです。つまり、一歳ぐらいで短い言葉が言えるようになり、次第に二語文も使いこなすようになります。更に言えば、多くのアスペルガー症候群では知的な遅れが見られません。これに対し自閉症ではおよそ80パーセント近くの人において、知的水準が低くなっており、加えてほとんどのケースで言葉の発達の遅れが見られます。ただ、上記のように明らかな違いは認められるものの、いずれのケースにおいても症状が多彩で、自閉症なのかアスペルガー症候群なのかを判定するのが困難な場合もよくあります。

従って、以下はアスペルガー症候群においても見られる、コミュニケーション、社会性、想像力に関することを述べます。まずコミュニケーションですが、アスペルガー症候群の子供は癖のある言葉の使い方をします。例えば、年上の人に普通の友達に対するような言葉で話しかけたり、身内に丁寧な言葉を使うといった具合です。これは単純に言葉を伝達手段と捉えているためです。このように立場によって言い換えなければならない言葉の使い方を習得するのが苦手であり、更に本人自身があまり理解していないことわざを頻繁に使ったりします。
社会性でよく知られるのは暗黙のルールですが、これは周りの人間と接することで自然に学んでいくものです。いわゆる常識などもこの手のルールにはいり、アスペルガー症候群の子供はこれを苦手とします。その結果一緒に遊ぶ上で必要とされる守りごとを無視し、仲間の中へ入りにくいといった状態を生みます。本人に悪気はありませんが、他人の考えを予測できない障害の代償と言えます。
想像力が不足すると、物事の流れを予測することが苦手となり、想定から外れるとパニックを起こすこともあります。その他、アスペルガー症候群では不安を回避するため、毎日似たような手順を踏む傾向にあります。こちらも想像力に問題があるとされます。