併存障害と二次障害

合併症は既に存在する疾患から更に病態が悪化したもので、二次障害は既にある疾患へ新たに加わる障害を意味します。併存障害とはこれらと異なり、どの病態が中心になるのかハッキリ分からず、いくつかの障害が一緒に見られるものを指します。

DSM-Ⅳでは並存障害がないことを前提に考えられており、ADHDと他の発達障害が同時に発生することはないと定義されています。しかし、現実にはアスペルがー症候群や学習障害(LD)、自閉症なども併存することがあり、更に二次障害を認めるケースもあります。この二次障害は、適切にADHDの子供へ接することが出来なかったために発生するもので、反抗挑戦性障害や行為障害などがあります。

その他、顔面や口を歪曲させたり、頭を振ったり、奇声や喉・鼻を鳴らすといったチックなどがADHDと併存することもあります。この障害は通常12ヶ月もあれば消失しますが、時にそれ以上継続することもあります。トゥレット症候群とは上記の音声チックと運動性チックのいずれも認める症例で、発生頻度は低くなっています。また、骨格や筋肉が正常であるのに動きが異常である発達性強調運動障害もよくADHDとの併存障害を招くようです。