広汎性発達障害の症状

対人関係及びコミュニケーション能力の障害、想像性が不十分といったものが主症状です。診断基準は米国精神医学会DSM-Ⅳが知られており、これに該当して症状が顕著に現れている場合、自閉症と診断されます。一方、症状がハッキリしていないため自閉性障害と断定できなければ、特定不能広汎性発達障害と診断されます。

対人関係では社会性がなかったり、アイコンタクトがうまくできなかったりします。また母親が抱き上げてからおろすと、母親にはあまり関心がないかのように見えることもあります。抱かれたいことの要求は薄く、重い広汎性発達障害だと逆に離れようとするケースもあるようです。社会性がない点では、友達を作れないため、自分だけで遊ぶ傾向にあり、面白いことを友達と共有できない状態にあります。

言葉の発達には人に自分の思いを届けたいとの考えが育ち、そして音声の真似が欠かせません。ところが想像性が不足していたり、対人関係に障害がある広汎性発達障害では、本人独自の世界があるため、言葉を使わなければならないという状況に追い込まれにくいようです。このことが人に自分の思いを届けたいとの考えを育むのに、余計な時間を浪費させていると考えられます。また、広汎性発達障害でいうコミュニケーションの障害はこういった観点から生じているものと思われます。

広汎性発達障害の子供に想像性の欠如が見られますが、例えば、おもちゃの一部で遊ぶといったものです。これは対象となるおもちゃをどのようにして扱い、遊べばいいのか分からないというもので、そこへ想像性の欠如を求める考え方です。特に車の玩具でタイヤだけをくるくる回しているという光景を良く見かけます。また習慣への固執があり、位置や並び順、時間といったものに執着します。それらがいつもと違うとパニックを起こしたり、寝ることができないといった症状が起こります。これらは自分の精神世界が破壊されてしまうのを不安に思ったり、時に恐怖を感じたりするためと言われており、逆にいつもと同じ時間、位置、並び方をしていれば安心できるようです。自閉症では周りの世界を自分の世界へうまく溶け込ますことができないため、周りは常に不安要素だらけに感じてしまうようです。その他、想像性の欠如からごっこ遊びなども苦手です。例えばままごと遊びですが、広汎性発達障害ではこういった何かに見立ててプレイするといった行動も不得意とします。