親の躾けが原因ではない

かつてLDなどをはじめとする発達障害の症状は、親の躾けによるものだと言われていた時期がありました。親だけでなく、周囲が甘やかすからという認識が強く、そのため親も自分を責めるという悪循環があったのも事実です。しかし、現在では親の躾が原因ではなく、脳の機能不全だということが周知されるに至りました。その一方で、脳の障害がどの部分において生じているのかは未だ不明です。また、脳機能不全が発生する原因も解明されていません。ただ、小脳などを含む複数の箇所において機能不全を招き、その連携に問題が生じているのではないかと推測されています。

LDは男児のほうが女児より圧倒的に多く、これは躾などの環境要因ではないことを示しています。生物学的な原因に理由を求めなければ、この大差を説明することはできません。また、遺伝的要素が必ず原因するものではなく、あくまで遺伝はLDを発生しやすい一つの要因に過ぎません。一般には、家族性があるという程度に理解されています。

その他、誕生時に脳が未熟であったり、頭部外傷などに関係しているのではないかという指摘もありますが、ハッキリ分かっていません。