子供が文字を覚え始めたとき、最初は左右が反対になったりします。部分的に書き間違えることもありますが、多くは小学校へ通いだすときちんと書けるようになります。しかし、視覚的に文字の形状をきちんと捉えることが出来ないLDの子供は、年長になっても似たような誤記を何度もします。これは視覚認知に関係しており、捉えた形を正しく書き出す際、その視覚的に捉える機能に障害があるからです。そのため、左右が逆になったり、特有の文字を使ったりして、書いた子供にしか理解できない文字などを書くようになるわけです。
通常、視覚に入ってきた文字が塊に映るなどの理由で、LDの子供は文字をうまく書くことができません。ところが、LDの子供のなかには、一時的な記憶がうまくできず、これによって文字を書くのが困難となるケースがあります。つまり、視覚で捉えてから紙に目を移動させる瞬間に、書こうとしたことを忘れてしまうからです。
読んだり話すのが苦手だと、これが文章を書くのに問題をもたらします。道具などを補助的に使用しても難しく、もっと広い視点から対応しなければなりません。また年齢と共に書く困難さが顕著になるため、他人との比較から更に劣等感を深めることにつながりません。従って、これらを配慮した適切な対応が求められます。一方、表現能力があるLDの子供の場合、書く能力だけが問題となります。こちらはパソコンを使ったりするなど、補助的に道具を使用して、対応することが可能です。
尚、文字をうまく書けないLDの子供の中で、手指の協調運動に問題がある場合もあります。こちらは力の入れ具合や骨格筋の複雑な動作に問題があるため、力を入れすぎてペンの芯が折れたり、逆に力が弱すぎてかすれた文字を書いたりします。