計算と推論が弱い

LDでは計算や推論を苦手とする症例があります。視覚認知、記憶、読む、手先に器用さがない、集中力が劣るといったタイプがあり、つまずく部分には個人差があります。

推論に弱いと、数量のおおよその考え方が分からず、100センチメートルと1メートルが同じであることが理解できないこともあります。また、推論に支障があると時計の針や物差しのメモリ、グラフが読めなかったり、図形の模写ができないといったことも起こります。推論だけでなく視覚認知が弱いと、数字を読み間違えたり、筆算のけたを間違えたり、異なるけたで計算したりもします。記憶力が劣る場合、指を使ったり、九九を覚えるのも苦労します。計算においては記憶力が必要であり、これが弱いといくら練習しても、時間の経過と共に忘却して、なかなか学習することができません。読むのが困難な子供は、その先に要する論理的思考も不得意とするため、算数の文章問題で困難を示します。また、表などから数の関連やルールを見つけ出すのも思うように行きません。手先が不器用な子供は、文具を使用して図形を描いても、どこか歪んでしまいます。集中力が持続せず、ADHDを併存させている場合、ミスが多くなります。このケースでは計算の能力には問題なくても、文章を中途半端に読んで答えを間違えたりします。

LDではこういった計算と推論の能力に問題を示す症例もあり、努力しても算数の成績が上がらないといったことがよく起こります。これが自信喪失につながり、劣等感から悪戯をする子供も見られます。悪循環のよい例で、これを回避するには補助的に計算機といった用具を使うなどして、本人に合った方法でゆっくり学んで行かせることが大切です。